ごあいさつ

合わせ結びて
たつみのほどあいに
撫で付ける

無駄なく直線的に切り取って
縫い上げた平面造形を、
肉体にのせて重ね合わせて
結ぶという動作で
立体的造形に仕上げる美学だと思う。
洋装が均整、完璧、華麗さを
追求している方向とは真逆の
不均整、不完全、究極の余情感こそが
和装ではないか、
そこから生まれでるたおやかな美を
最も単純な動作、
合わせ、
結ぶ、(人にしか出来ない動作である)
で仕立てる、
それは手を合わせるだけで
神を暗示する様な動作に似ている、
正に削ぎ落とした暗示美学の極みだ。

たつみの和服は、換骨奪胎し
素朴なリアリズムに生まれ変わって、
最後に手技となり、
まるで日常の髪を
撫で付けるような動作で
仕上げるのである。

人生の大先輩から
とある日に戴いたこの言葉は
アパレル育ちの私が
着物を纏い生活するようになり
感じていた異同とこころざしそのものでした。

そして

今でも私の指針となり、
ゆくべき道を照らしてくれています。

その日 自身が着るモノの選択肢の1つとして
日常に着物が在って欲しい
決して特別なことではなく、
あくまでも着る(纏う)モノ
自己表現の1つとして

着物に纏わる万事よろずごと
皆さまと共に
少しでも解決できる場所で在りたい
と 願っています。

小宮 たつみ拝