京都 今小路 あま宮 ブログ

「悩める帯合わせ 格と素材」

とあるお客さま より

「紗の帯に 固モノはダメ だよね」

「固モノには やっぱり染帯?」

と ご質問がありました。

このような形の 似たご質問は

実は 良くあって

「銀糸が入ってるから ダメよね」とか

「パーティーだから 九寸はダメよね」とか

コレね… きっと

皆さま、一定の一覧表のごとく

枠にはめた方が 分かりやすいんだと思う

のですが…

ジーンズにT-シャツで

パールのアクセサリー して

ちょっとしたパーティー(笑)とか

行けてしまう場合があるように…

社交界以外の場面では あくまでも

洋服と同じ「ファッション」なので

枠にハマらないんですよ… コレが(>_<)

要は

何と何を合わせようとしていて

何処に行こうとしているかによる

のです。

例えば

同じ 銀糸を使った帯でも

このように

紗の九寸名古屋帯 笹舟
紗の九寸名古屋帯 笹舟

手織りの 紗の九寸名古屋帯で

「水」のキラキラを表現する為

銀糸が 使用されているモノ と

正倉院文様など 格の高い文様で

銀糸が使われいるモノ とでは

銀糸の意味合いが 少し違うので

写真の帯の図案 で

そこまで ギラギラしていない

この 控えめな光の銀糸なら

織のキモノを含む 意外と

カジュアルめなキモノとも

合わせられたりします。し

同じ「紗のすくい帯」でも

先のような 繊細な九寸名古屋帯 と

下の写真のような ザックリ八寸 では

夏帯 紗の八寸名古屋帯 芭蕉
紗の八寸名古屋帯 芭蕉

合わせられるモノが違ってくると同時に

そぐう場 も違ってきますが

基本的は ザックリな方が カジュアル

そして同じ 固モノきもの

例えば同じ 夏塩沢 だとしても

左のような 民芸感が強い絣キモノ と

右のような 飛び柄のシュッとした絣キモノ とでは

合わせられる 帯の許容範囲が違ってくる

と同時に そぐう場も違う。

同じ絣でも 民芸調の方が

どーやっても カジュアル です。

そして 細かいコトを云えば

同じ「絽」の飛び柄キモノ でも

今は 色々な質感の「絽」があって

左のような シャリ感のある「絽」は

右のようなツルっとした従来の「絽」に比べ カジュアルだし

はたまた 全体柄の小紋 と

無地場の多い 抜け感のある小紋 とでは

基本的には 全体柄が カジュアルだけれど

素材の質感によっても 違う…

となると しっくりくる帯の許容範囲も

当然 違うワケ ですよ…

しかし、

もっと極端なコトを言ってしまえば

着る方の雰囲気 によって

通常「ナシ」が「アリ」になってしまう

コトも ある(笑)

では 何を基準にかんがえるのか???

「ナシ」が「アリ」になる方は

ひとまず 放っておいて(笑)

まず、組合せを考える前に…

お手持ちの着物や帯

1つ1つの性質(ドレッシー感とカジュアル感)

を把握してみてください。

キモノも帯も 考え方は同じで

絹だろうと 麻(綿)だろうと

染めだろうと 織だろうと…

袋帯だろうと 名古屋帯だろうと

《質感〉

織の組織が細かく ツルっとしているほど

フォーマル感(ドレッシー感)

目が粗くザックリ感 が増したり

節感が あればあるほど カジュアル感

続いて《柄》

a) 有職や正倉院文様など 柄自体に格があるモノ

b) 慶長文様や名物裂 など一見格のありそうなモノ

c) 植物や幾何学 その他洒落柄

文様だけで云えば

a) → b) → c)

の順番で 格が高く

フォーマル感(ドレッシー感)→ カジュアル感

と 理解 できますが…

b)とc) に関しては 特に

その図案の使い方(重め 軽め)と

加工(箔や刺繍の挿し方)によって

格式高く(フォーマル感)なったり

普段ぽく(カジュアル感)なったりします ので

その手持ちのモノが どの程度の

立ち位置なのかを 理解しておきましょう

で、いよいよ(笑)

キモノと帯の組み合わせを考えます。

染めに織 とか 染めに染めとか

織に織とか 関係なく

まずは、 各アイテムの立ち位置

カジュアル感 ⇔ フォーマル感(エレガント感)

を 合わせる

この距離感が

遠ければ遠いほど 合わないし

近ければ近いほど 相性は良く

間の距離なら 合わせ方次第

と なるワケです。

そして 一番大切なのは

その組み合わせたコーディネート と

着て行く場所の距離感 の一致

どのような場面(どんな人が集まる場面)に

どのような立場(関係者? お呼ばれ? その他大勢?)で

行くのか ってコト。

大きな会場や 天井の高い建物

それなりの方々が集まる席で

お呼ばれ ならば フォーマル感強め

で 合わせた方が 素敵に見えたり

同条件でも 立食なら 少し軽めでもOK?

とか

歌舞伎などの観劇でも

一等席 関係者づたい

なら ほんの少しフォーマル感

が 必要だし 素敵だけれど

一般で行くなら そこまでではないが

華やかさ は出した方が良いかな。とか

2階席 幕見席だったら

カジュアル感強め でも良いっか~ とか。

食事会でも 場所が

それなりの レストランや割烹 なのか

そこまででもないのか?

それなりの お店でも

完全に 仲間内なら

カジュアル過ぎなけば OK ですし

カジュアル過ぎるのは店に失礼だと思う)

接待される側なら 失礼のない程度は

ドレッシー感があった方が 素敵だな っとか

する側なら 歩控えつつ

キチッと感は出そう とか

なので、

自分が着たいと 瞬間的に

頭に浮かんできた その単体が

その着てゆく場所の距離感 に

合っているのか?

を まず考え

「全くそぐわない…ズレている」と

思う時以外は

とりあえず、着て行く方向で考えてみて

その場面と同じ距離感の

コーディネートにするには

どうしたら良いかな? 何が合うかな?

思考回路を展開してゆけば良い のです。

わかります??

コレね、お洋服でも同じコトを

実は皆さん、無意識にされてらしゃるハズ

なんですよ…。

ただ、最近は キモノに関しては

素材別で合わせられるモノとか

素材別の着用時期 とか

親切ぶって 色々な方が

表にまとめて 言いきっちゃったり

しているものだから

皆さまを 悩ませてしまっているのだと

思うのです。

国賓扱いや 宮廷行事

皇室主催のパーティー や

社交界などへ お出かけの際には

もちろん、

厳格な決まり事はございますし

慶事 弔事においても

守るべきルールは ございます。

ですが それ以外の場面では

あくまでも ファッションですから

先に記載した きものや帯

其々の単体の格?みたいなモノの基準を

理解した上で 楽しんで戴ければ

と思います。

また、逸脱する際は

思い切って逸脱して

「ナシ」を「アリ」に変えてしまう

くらいの ファッション性を高めれば

良いのです(笑)

大丈夫!!

ご自身の感覚と常識を信じて!!!

困ったら いつでも

ご連絡ください。

私で良ければ 何なりと。

実践経験値は そこそこ

高いハズなので それなりに

役に立つとは おもますよ(笑)

小宮 たつみ より


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4 コメント

  1. amamiya-imakoji 2023-08-30 — 投稿者

    池谷久子さま

    こちらこそメールでもご連絡いただきありがとうございました。
    今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

    小宮 たつみ

  2. 池谷久子 2023-08-28

    ご回答ありがとうございました。
    質問しておきながら、このサイトにたどりつけず、困っておりましたが、本日やっと確認することができました。
    帯に使われているのは、金糸ではなく、ラメ糸のようでした。9月のお彼岸過ぎから10月中旬の時期に無地っぽい紬や生紬を染めた小紋に合わせてみます。アドレスをいただき、とても助かりました。
    ありがとうございました。

  3. amamiya-imakoji 2023-08-25 — 投稿者

    池谷久子さま
    コメントありがとうございます。実際のお品モノを拝見しておりませんので、何とも申し上げにくいのですが、お合わせになられてみて、軽くてしっくりこない…との事であれば、軽めな柄つけの附下や、無地紬くらいと相性が良い帯なのかも知れませんね。
    もし、他にも気になる点やご不安な点等ございましたら、恐れ入りますが、info@amamiya-imakoji.co.jp の方へ直接ご連絡くださいませ。(コメント欄ですと見落としてしまう場合もございますので)
    どうぞよろしくお願い申し上げます。 小宮 たつみ

  4. 池谷久子 2023-08-25

    藤紫色、正倉院模様(花兎)、金糸ありの櫛織りの帯を持っています。
    柄に格調がある反面、帯に重量感がないため合わせるものに困っています。
    10月に月柄の個性的なグレーの訪問着に合わせてみたいのですが、櫛織りでは軽すぎて、しっくりきません。
    櫛織りの帯の使い方を教えてください。

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